タコノアシコシ 北国のアートアニメーション

日時

2023.2.13 - 2023.2.26 会期中無休

14:00〜20:00


会場

Art Labo 北舟 Night Owl(ナイトアウル)

〒080-0011 北海道帯広市西1条南16丁目14−1


料金

¥300(コーヒーサービス付き)


作家

越後しの+浅野託矢

さとうゆか

森本めぐみ


内容

北海道に来て、アニメーションの静かな動向を感じている。それは新千歳空港アニメーション映画祭が開催されていることなどにも現れている。元々人気漫画家を輩出している土地柄であることは遠因としてあるのだろう。また道内の大学のメディアアート系の卒業生が活躍していることに由来する。

ここでいうアニメーションはスタジオなどの集団で制作されるいわゆるアニメとは異なり、インディペンデントアニメーションと呼ばれる極めて個人的な制作スタイルのアニメーションである。以前は膨大な量の原画や撮影を経て制作されていたが、PCやデジタルカメラなどのデバイスやアプリケーションの進化により、比較的手軽に取り組めるようになった。しかしそれでも、アニメーション制作は絵画や写真に比べると時間と労力が求められる表現手法である。

長い冬を家で過ごすことが多い北国は、コツコツと作業を続けることに向いている。また人口密度も低く田園や山野が広がる風土で、自省的な志向になることもあるだろう。そうした気風が育ったとして不思議はなく、アニメーションの制作過程と通じるものを感じる。

さとうゆかは道内のインディペンデントアニメーションの代表的な作家で、版画を用いたダークサイドを伴う作風は北国の影の部分を感じさせる。また近年は独自の手法を試みている。

森本めぐみは20代から絵画やインスタレーションで活躍し、ナイーブな少女的世界を描き出していた。育児で制作ペースが遅くなる中、GIFアニメーションを制作する。それはループ状のサイレント動画で、現代的な動く絵画でもある。

越後しのは独学で制作を始め、震災後、自然との調和を願う着ぐるみ的人物像を描く独自の作風となる。音楽家で映像作家の浅野託矢とのコラボレーションで内省的な映像作品を制作している。

今回出品の3人の作品には、日々の営みの中から生まれ出るしたたかさと共に捉えどころのない空虚感も漂う。それは北国の厳しさと美しさから生まれる気質と関係している。

(企画 白濱雅也)